UPMC East レポート(3)

シミュレーションのその後

WISERは、今回のシミュレーションの結果を報告し、それに基づいて改善を加えました。現在開院して数ヶ月がたちますが、このシミュレーションの効果を評価するには長期的な視点が必要ですし、他施設との比較というかたちの評価になるため、現時点での明らかな数値的結果は得られていません。ただ、参加者からは、開院に向けてのよい準備ができた、病院の設備装備の使用に不安がない、シミュレーションをやる価値があるといった好意的な反応が得られています。今後は、
1)スタッフの能力を維持し向上していくための継続教育、
2)新規採用者の初期教育、
3)周辺地域のEMSサービス向上のための教育
を主な目的として、院内のシミュレーションセンターを活用していきます。早速、インストラクタートレーニングが開始され、院内の看護師教育担当の看護師が参加し、SimMan3Gの基本的な取り扱い方の講習をSimulation Specialist から受け、またFirst 5 Minutes が週1回のペースで開催され病院スタッフ全員が受講し、患者の異変に気づき迅速にRapid Response systemを起動させるトレーニングを行っています。これは、どんなにいいシステムがあってもそれを起動させる人がいなくては機能しない、という点においてとても重要だと感じました。

おわりに

シミュレーショントレーニングは、個人のスキルに焦点が当たりがちですが、病院全体のシステムから各部署、個人へと一連アプローチとして考えることで、最終的な目的であるPatient Safetyにつながるのだなあと思いました。
 シミュレーションをPatient Safetyに生かすためには、そこにどんな問題(病院全体のシステムか、文化か、個人の能力かなど)があるのか、その問題はシミュレーション教育によって解決できるかを的確に分析し、その目的に応じたシミュレーショントレーニングを行うこと、問題の起こっている現場にいる指導者がシミュレーションを使用できるよう指導者の教育と支援を行っていくことだと考えます。

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