懐疑心からチャンピオンへ
リアルタイムCPRフィードバックの導入に関する話
あるEMS組織のCPRメータ2の導入、そして救命方法にもたらされた変化について是非ご覧ください。
カナダ、サスカチュワン州
West Medavie Health Services West(旧称M.D Ambulance)と CPRメータ導入の特集 の後半では、インタビューの全文をお届けします。職業基準部門副部長のTim Hillierに、Medavie Health Services Westの世界について、彼のさらなる洞察とCPRメータが組織にどのような影響を与えたのかを伺いました。
以下の質問をクリックしてTimの回答をご覧ください。
Medavie Health Services Westの貢献者
Tim Hillierは、Medavie Health Services Westの職業基準部門で副部長を務めています。また、彼はサスカチュワン州心臓・脳卒中財団蘇生諮問委員会の会長を務め、サスカチュワン州心臓・脳卒中財団州委員会の前会長でもあります。
Medavie Health Servicesは、カナダの全国プライマリ・ヘルス・ケアソリューション組織であり、EMS管理サービスを提供する国内最大の民間組織です。私たちは、病院到着前の救急医療サービス、モバイル統合ヘルス、遠隔医療通信、公衆安全維持および臨床トレーニングの分野において子会社を管理し、国防省の重要なプライマリ・ケア・救急隊員トレーニングのパートナーを務めています。
Medavie Health Services Westの傘下には、MD Ambulance、Guardian Ambulance、Prairie EMSといった西の救急医療(EMS)3社が集まっています。サスカトゥーンでの業務は1976年頃から開始しています。
社内での業務は多岐にわたります。昼食の前に私に話しかけてきた救急隊員がいました。彼とは一緒に働き始めて37年になります。また、卒業したばかりの若い人たちもいます。チームでは多様な人材が働いているのです。
32年です。EMT(救急救命士)になる前から働き始め、こちらに着任した直後にEMTトレーニングを受けてキャリアを歩んできました。EMTから救急隊員、シフト監督者、フィールドトレーナー、そして現在の職業基準部門副部長まで、さまざまな経験を積んできました。
私が着任した頃、社員は30人ほどで、もちろんお互いを知り、チームのことなら何でも知っていました。社員が200人ともなると、それまでのようにはいかなくなり、人と人とのつながりが減るものです。しかし、より良い環境作りに努めています。毎年、ファミリー・ファン・デーと呼ぶ日を設けて、子ども連れでBBQや楽しいイベントを催しています。
[37年前にM.D. Ambulance(MDアンビュランス)でキャリアをスタートさせた救急隊員]も非常に喜んでくれました。何しろ、ひとつの建物に3世代が集まって楽しい時を過ごすのですから。その他の私の同僚の一人は、娘さん2人が今ここで仕事をしています。自分たちの子どもが同じ職場で働いているのですから、良い職場と言えるでしょう。これはよく見られることで、多くの社員の兄弟、娘や息子が同じ職場で仕事をしています。
私たちの組織は比較的大きいので、誰もがシフトを開始するときに集まるスタートステーションを1箇所設けています。しかし、ひとたび救急車に乗れば、外で活動することになります。市内には5つのステーションがあります。
落ち着いているときは、業務を休め、他の場所に人員を配置することもできますが、基本的に非常に多忙です。11台の救急車すべてが出動していることはめずらしくありません。
私が答えられるのは自分が統括する職業開発部門や医療サイドに限られますが、目標は毎年設定し、重視しています。改善に取り組み、改善内容を標準化した後には翌年に改善できることを特定します。
この3年間は、心停止の統計改善に重点を置いてきました。2018年は敗血症に重点を置くことに決め、そのためのトレーニングを強化していきます。
製品の価値をよく理解しておらず、自分たちにとって優先順位は高くないと感じていました。私たちはCPRのトレーニングを十分に積んでおり、CPRメータのような装置が役に立つとは感じなかったのです。
例えば、トレーニングの記録が可能なマネキンを所有していたので、クラスではそのマネキンを使ってスタッフがきちんと対応できるように賢明に取り組みました。当初は製品の価値をきちんと認識していませんでしたが、実際に導入してみたら、その素晴らしさがわかりました。
Cory(レールダルメディカルカナダのディストリクトマネージャー)がすべての触媒になってくれました。何度この話をしたか覚えていないくらいですが、彼がいなければ今の私たちはいません。彼は根気よく私に話し続け、リアルタイムフィードバックの価値について説明してくれました。そして、私たちはさらに上を目指せるということを私が理解できるように新たなやり方を模索し続けました。私たちのパフォーマンスが悪いとは決して言わず、まだ改善できる方法があると教えてくれたのです。彼のように、さらに改善できると思わせることができる素質を持つ営業担当者はめったにいません。彼のやりかたに私は非常に感銘を受けました。
Coryはトレーニング日に数日参加し、パフォーマンスを目で確認できない状況で、チームの能力を確認する機会を提供してくれました。ファーストレスポンダーとして、私たちには大いに改善の余地があることを示してくれたのです。私はちょうど質の高いCPRを達成する方法を模索していたので、Coryの登場はフィードバックを追加するのに完璧なタイミングでした。
難しいことはありませんでした。私たちにとって素晴らしいチャンスだったのです。私たちは消防本部と緊密に仕事をしていたので、彼らにも同時にリアルタイムフィードバックを体験してもらうことができました。彼らは[CPRメータ]を所有していませんでしたが、直ちに何をすべきかを把握してくれました。問題はなく、すべてが私たちにとって完璧に進みました。
タイミングが完璧だったこともあり、4週間のうちに全社に展開されました。非常に短期間で皆に同じトレーニングを受けさせ、非常に喜んでもらうことができました。
アリゾナ、シカゴ、ウェイク郡からのデータを参照することで、活動の理由、つまり測定だけが目的ではなくて質の高いCPRのために実施するのだということを説明できました。生存率を改善できる可能性があると聞いて感心を持たないほうが難しいでしょう。[EMTと救急隊員]の事実を提示すると、彼らは夢中になりました。
とくに長時間に及ぶ胸骨圧迫では、より効果的な圧迫が確実にできることに彼らは気付き始めました。この装置のすばらしさはまさにここにあります。事前にCPRクラスに参加して1分程度ならマネキンでCPRを100%再現することはできるかもしれませんが、コール全体を開始すると、いかにすぐ疲れてしまうかに気付きます。これが、装置にスポットライトが当たる瞬間です。
消防本部の存在が大きかったです。私たちの組織のシステムが非常に短期間でこれほど改善できたのは、消防本部の協力が大きいと思います。彼らの賛同を得ることができ、そのタイミングも完璧でした。すべての消防隊員、PCP(プライマリ・ケア・救急隊員)、EMTが2年に一度私たちのもとにトレーニングに訪れます。このとき、ちょうど2015年でした。トレーニング日のうち、1時間を[CPRメータトレーニングに重点を置く]ことにしたのです。全員に他の部隊と共にトレーニングを受けさせることで、現場でそれぞれの部隊に何が求められているのかを学ぶことができました。
私は消防隊員をCPRのエキスパートとして捉えているので、マニュアルCPRのスキルを彼らに託したいと思っています。これによって救急隊員にゆとりが生まれ、全体を見ることができるようになります。現状はどうなっているのか、CPRの質はどうか、高度なスキルはどのようなものを提供するべきなのか?といったことです。[質の高いCPR]を消防隊員に信頼して任せることができたら、より広い視野にフォーカスできます。
共同トレーニングの際は、この点に重点を置いてトレーニングを行いました。EMSが最初に現場に到着し、次に消防隊員が現場に到着するというシナリオについて話し合いました。適切なポジションに人員を配置するにはどうしたら良いのか?消防隊員が最初に現場に到着し、次にEMSが到着した場合はどうなるのか?適切な役割に人員を配置するにはどうしたら良いのか?これらのすべてを書面に落とし込み、皆が自分の具体的な職務や、いつ、何をすべきかを把握できるようにしています。
新しい救急車を配備するとき、CPRメータは標準装備の一部としています。永遠に使えるものではないとわかっているので、交換の必要が生じたら、交換するか補充します。
CPRのフィードバックは必須です。このようなツールがあれば、それぞれの生存率を最大限に高めるチャンスがあります。サスカトゥーンでは、私の知る限り毎年6人の命がリアルタイムフィードバックを導入したからこそ救われています。
このような事実に耳を傾け、それを自らの視点から検討する必要があるでしょう。心停止において大きな違いをもたらすものは他にはありません。私は救急隊員を長く勤めていますが、手の込んだツールは実践現場に組み込んでも何の変化ももたらしません。心停止で変化をもたらすのは、効果的なCPRと早期の除細動であり、この両方は一般の人にも実施が可能です。効果的なCPRを実施しようとするのであれば、測定と迅速なフィードバックが必要となります。私の考えでは、これを実現するツールがなければ実力を発揮することはできません。
最も重要なことは[CPRフィードバックツール]の存在を忘れないことです。すぐにバッグから装置を取り出して装着し、ひたすら圧迫を続けている場合であれば、落ち着いて[画面]に注意を向けるよう促しましょう。
コール中にはさまざまなことが発生します。多くの人がいて雑音も多く、たくさんのことが起きていますから、これらに注意をそがれてしまいがちです。[EMTと救急隊員]には落ち着いてもらい、「質の高い胸骨圧迫を実施する必要があること、そしてそのためには画面に注意を払うこと」を伝えなければなりません。言うのは簡単ですが、実行に移すのは難しいものです。
私はいつも、「より多くの命をつなぎとめ、より多くの人の命を救うにはどうしたらよいのか?」という考えに立ち戻ります。その答えとなるのが質の高いCPRです。その多くは、救急隊員の考え方さえも変えようとしています。救急隊員は、輸液、挿管、投薬など、自分たちの判断で使える多くのツールがありますが、これらによる心停止からの生存率改善が実証されたことはありません。唯一実証されているのが、効果的なCPRです。
今では、CPRメータの使用は私たちの文化に根付いています。これなしで心停止に対応しようとは考えていません。CPRメータは胸骨圧迫の一部に組み込まれ、最初に取り出して胸部に装着するのがこの装置です。
私たちには優れたスタッフが揃っています。彼らが同意してくれれば、非常に良い効果が生まれます。チームの[CPRメータ]への適応は驚異的でした。
命を救うための取り組みを行い、今回ご協力いただいたTimやMedavie Health Services Westのスタッフの皆さん、ありがとうございました。私たちは、質の高いCPRに対する彼らの献身的な取り組みに刺激を受けました。また、快く体験談を共有してくれたことに感謝しています。
Medavie Health Servicesは、カナダの全国プライマリ・ヘルス・ケアソリューション組織であり、EMS管理サービスを提供する国内最大の民間組織です。病院到着前の救急医療サービス、モバイル統合ヘルス、遠隔医療通信、公衆安全維持および臨床トレーニングの分野において子会社を管理し、国防省の重要なプライマリ・ケア・救急隊員トレーニングのパートナーを務めています。
また、保健機関のMedavieの一員です。一体型保険を提供する主要保険会社で公衆衛生プログラムを管理する Medavie Blue Cross と共同で、すべてのカナダ国民の福祉を向上すべく、革新的なソリューションの提供にコミットしています。
Medavie Health Foundation に対して年間の社会的便益にコミットし、国内の最も差し迫った体と心の健康問題に対応するプログラムや取り組みを支援しています。