POCUS に関する習熟は3分野に区別されます:
- 画像抽出:
スキャンするタイミングと部位を理解する - 画像判定:
画像の生成、および判定およびデータ抽出に適した画像のタイミングの理解 - 診療への統合:
完全なデータ(病歴、身体画像およびPOCUS画像)に基づく意思決定11
超音波検査の適用は、産科領域の診療だけに限りません。そのルーツは軍事や工業への適用にあり、それ以来大きな進歩を遂げて、今日、超音波検査は診断および治療アプリケーションの分野において重要なテクノロジーとして確立しました。その用途は、胎児の大きさや性別の決定から軟組織損傷の治療のための針生検までさまざまです。さらに、ベッドサイドでのポイントオブケア超音波検査(POCUS)は、救急医療や集中治療などの現場の救急医の有益な手法として発展しています。POCUSは迅速であり診断精度を向上させ、また、診断可能な病気のリストをまとめることで治療計画のための情報としても有用です。1
ここでは、ポイントオブケア超音波検査のアプリケーション、およびお客様の既存のシミュレーションにPOCUSを活用することについてご説明いたします。
診断上の1つの大きなパズルピースであるかのように、POCUSの所見は多くの場合、ケアパスの次ステップを理解するのに役立ちます。
POCUSを使用すれば、核となる解剖学および生理学の概念を理解し、病理および疾患の経過を具体的に説明し、さらに理学的検査の習熟を促すのに役立ちます。これらの理由から、米国救急医療学会から米国超音波医学会まで、多岐にわたる組織が、学部医学教育の重要な要素としてPOCUSを支持しています。 2 3
しかし、これには2つの注意事項があります。1つ目は、POCUSは操作者のスキルに大きく依存します。画像描出および解釈に関する自信やコンピテンシーが、画像の所見を臨床的判断に組み入れる能力と同じようにきわめて重要です。4 現状は「見て覚えて、やって覚える(see one, do one)」アプローチで成り立っており、これには患者、標準化された患者、市販のトレーニングモデルや献体を必要とし、すべてがかなりのコストになっているため、超音波検査に必要な操作者のコンピテンシーの育成は大きな課題の一つです。
2つ目は、今日の超音波検査トレーニングは概して、救急医療や集中治療などの現場に不可欠なクリティカル・シンキングや意思決定の要素を重視していません。
ポイントオブケア超音波検査は一般的な画像診断法になりつつあり、医学部および研修医プログラムはそのカリキュラムに超音波検査トレーニングを取り入れ始めています。
1990年代まで、麻酔科の研修医は、患者の安全性を確保しながら臨床コンピテンシーを身に付ける課題に直面していました。麻酔手技は、難しい気道確保、片肺換気から効果的なチームワークまで、技術的側面を問わず多くのスキルを必要とし、理想的には、これらは従来の講義ではなく実習および経験によって取得されるものです。
忠実度の高いマネキンシミュレータおよびシミュレーションベースのトレーニングの登場はこうした課題に大いに役立ちました。シミュレータを用いたトレーニングを受けた麻酔科の研修医は、より迅速に対応し、より成果を上げ、認められた手技からの逸脱を減らせることが分かりました。5 別の研究者は、心肺蘇生法の良好な成績6、 コストや中心カテーテル挿入に関連した合併症の低減7、 心肺バイパス離脱の高い成功率、そしてシミュレーショントレーニンググループにおける優れた技術以外のスキルを報告しました。
なぜ医学シミュレーショントレーニングが効果的なのでしょうか?シミュレーションがもたらす効果には以下の例があります。
• 実際の患者の代わりになる。
• 経験的学習法に基づく。
• さまざまなレベルの忠実度を提供する。
• 活力・熱意を高め、記憶を最大化する。
• デブリーフィングを実施できる。
• チームワークを向上させる。
シミュレーショントレーニングは特に、ポイントオブケア超音波検査を習熟するのに適しています。この検査は救急医療などの専門分野にとって必要なコアコンピテンシーです。迅速、正確、再測可能、高い費用対効果、非侵襲的といった特徴があり、放射線に曝されるリスクがなく、安定した患者、不安定な患者のいずれにも適用できます。理学的検査、蘇生および安定化に対して同時に実施することもでき、医学部および研修医プログラムの超音波検査トレーニングに大きな付加価値をもたらします。9
超音波検査のような診断・治療ツールでは、シミュレーションが患者の安全性の向上を追求するのに重要な要素となります。次のような理由があります。12
米国医科大学協会による調査によると、80%超の医学部がシミュレーションベースの指導を全4年間のカリキュラムに取り入れていたことが分かりました。10 看護学校の87%が忠実度「高」または忠実度「中」のマネキンを用いたシミュレーションベースのトレーニングをカリキュラムに取り入れていました。11
多くの学校ではシミュレーション機器を利用できますが、超音波検査に関して言えば、その利用は全部の機能を活かすにはとうてい至っていません。つまり、今日のチーフレジデントおよび診療部長の大多数は、超音波検査トレーニングでシミュレーションの価値を自ら直接的に経験しておらず、シミュレーションがこうした臨床スキルの教育法を最適化する機会を与えることを認識していないようです。
ポイントオブケア超音波検査は急速に臨床検査の延長に位置付けられており、シミュレーションベースの教育は、新しい教育のニーズを満たし、さらに最終的に患者の安全性および治療結果を改善する選択肢となります。
レールダルSonoSim超音波ソリューションなどのチームトレーニングソリューションがあれば、現在使っているレールダルシミュレータのプログラムを拡張し、POCUSトレーニング機能を取り入れることができるでしょう。