ピアツーピア学習でスキル習熟度の向上を促進
お客様ストーリー
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SimCaptureスキルトレーニングを使用したピアツーピア学習という新たな手法の導入により、マサチューセッツ大学は初回合格率を向上し、補習・再教育プロセスを改善しました。
マサチューセッツ大学ボストン校の臨床教育研究センターには、約600人の看護学生が在籍しています。
課題
看護教育プログラムは、看護学生を問題なく臨床実践へ送り出すという重責を担っています。マサチューセッツ大学ボストン校では、学生のレディネスを高めるため、シミュレーションプログラムの評価・アセスメントが、どのように臨床実践につながっているかを重視しています。
「データと評価を活用して学生のパフォーマンスを測定することは、パートナーの医療機関に対して、学生たちが十分な能力を備えていると示すときにも役立ちます」と、マサチューセッツ大学ボストン校の臨床教育研究センターのディレクターである Rosemary Samia 氏 (MSN、RN、CNS、CHSE)は説明します。
- Rosemary Samia 氏、MSN、RN、CNS、CHSE
マサチューセッツ大学ボストン校、臨床教育研究センター、ディレクター
Rosemaryは、収集したデータが単なる記録や集計表ではなく有意義なものであり、最終的に学生が必要な看護実践能力を身につけられたかを確認できるものにしたいと考えていました。「私たちは学生の学習進捗・成長を把握する必要があります」と、Rosemaryは言います。「学生が卒業するときには、新人看護師としての準備ができているよう確かな教育を進めていきます。」
ソリューション
Rosemaryと彼女のチームは、ヘルスアセスメントや基礎看護技術のスキルトレーニングに、SimCaptureスキルトレーニングを導入しました。SimCaptureスキルトレーニングは、教員と学生をデジタルでつなぎ、ピアツーピア学習の評価やアセスメントを効果的に行えるデジタルソリューションです。
学生は3人ずつのグループに分かれ、心血管患者アセスメントなどの特定のスキルを練習しました。それぞれの学生が、学習者・ファシリテーター・患者役を交代で行いました。そうすることで、スキルの実践だけでなく、他の学生のスキル評価や患者の視点に立った体験を通じて、反復的にスキルの練習に触れさせることができました。チェックリストにキーポイントやヒント情報を含めることで、学生主導で練習に取り組み、学生同士で正しく評価し合うことができました。
この手法の実施後に、学生のテスト結果を調べたところ、ピアツーピア学習を定期的に実施した教員の学生グループは、他のグループと比べて初回合格率が高く、全体的な補習・再教育の割合が大幅に低下したことが判明しました。
マサチューセッツ大学ボストン校の看護学生は、看護スキルテストに100%で合格する必要があります。「マサチューセッツ大学では高い基準を設定しています」と、Rosemaryは説明します。「基準を満たしていない学生は、シミュレーションラボに戻って補習を受けなければなりません。」
学生は再テストの許可を受ける前に、必須の補習トレーニングを完了する必要があります。以前の補習教育は、学生1~2名の少人数グループが大学院生から2時間の講習を受けるという非常に時間のかかるプロセスでした。
現在、教員不足や学生数増加に悩まされている他の看護学校と同様に、マサチューセッツ大学も補習教育プロセスの継続が難しいことに気づきました。「コースが大きくなるにつれて、必要な補習を提供する時間や場所、教員・指導者が足りなくなりました」と彼女は振り返ります。
補習の質を損なうことなく、より少ない教員・指導者でより多くの学生に補習を提供する方法を見出す必要があったのです。
最近の学期では、160人の学生がヘルスアセスメントの中間テストを受けましたが、そのうちの 60人は必須の100%で合格することができませんでした。Rosemaryと彼女のチームは、合格できなかった学生をより効率的に補習するために、SimCaptureスキルトレーニングの活用を決めました。
2人の大学院生がファシリテーターとなり、一度に30人の学生をシミュレーションラボに呼び、3人ずつのグループに分かれてピアツーピア学習を実施し、1 時間後に学生はそのスキルの再テストを受けました。
結果は大成功でした。SimCaptureスキルトレーニングを使用した1時間の補習後、60人の学生のうち51人が合格したのです。
少数の教員・指導者で1時間あたり30人の学生を効果的に補習する方法が見つかったのです。以前の補習プロセスでは、補習の指導に120時間を費やしていました。
「大きな成功を収めることができました」と、Rosemaryは言います。「補習と場所の確保に費やす時間が短縮されました。」
マサチューセッツ大学では、SimCaptureスキルトレーニングによって得られる、毎週の学習進捗に関する有意義なパフォーマンスデータを用いて、継続的な教育改善に取り組んでいます。
SimCaptureスキルトレーニングのチェックリストツールを使用することで、教員は学生が最も問題を抱えている箇所を把握でき、翌週の指導を調整することができます。また、このツールにより、学生が練習時間をどう活用しているかを可視化しています。
「当校が提供する教育の質は、大幅に向上しました」と、Rosemaryは言います。
また、マサチューセッツ大学では、高忠実度のシミュレーションにおいても、評価・アセスメントデータを活用しています。「まずはシミュレーションラボでの精神運動スキルから始めて、それをシミュレーションに当てはめます」と、彼女は説明します。
また、収集されるデータは、教員による学生の評価だけでなく、シミュレーション後の学生による教員の評価や教員同士の評価にも使用できます。
「私たちは大きな変化を起こすことができます。教員はデータをもとに、どこに改善の余地があり、どこに強みがあるかを確認できます。それらを把握することで、改善点と強みをもとに教員をペアにしたり、得意分野ごとに学生を組ませたりすることができます。この方法により、当校では包括的な看護教育プログラムを生み出すことができました。データ活用が一つのかたちとなったのです。」
「データは多くのことを明らかにしてくれます」と、Rosemaryは言います。「データが語るものを読み解き、それをもとに行動を起こしましょう。」
学習者同士で練習することで、スキルの習熟度を向上できます。
ピアツーピア学習とパフォーマンスデータを組み合わせることで、学生数の増加、スペースや設備の制限、教員の不足といった課題に対処できます。
スキルの練習から忠実度の高いシミュレーションまで、評価・アセスメントデータは、有意義な情報をもたらします。
教育プログラムにおいて、もっと多くのデータを活用したいとお考えの場合は、小さな取組みから始めることを推奨します。
「まずは、すでに収集されたデータに目を向けてみましょう。それは紙ベースの資料や記録ですか?それをどのように使用していますか?電子データの収集に移行することで、より簡単にデータを分析できるようになると思います。
管理しやすいものから始めてみてください。すべてのことを一度に行うことは難しいので、1つのことを選び、そこから着手してみましょう。一度でうまく行う必要はありません。当校では、2年間かけてプログラムを構築し、現在も改善に取り組んでいます。」