コンテンツへ
ナビゲーションを開く

女性の健康の重要性を明確にする

継続的ケア

女性は、過去には – 30年前ですら – 見られなかった自立性を獲得していることは明らかです。女性は、一般的に「男性の仕事」だと思われてきたキャリアを追求し、また、希望することの優先順位付けも変化してきています。しかし、とりわけ困難な分娩のシナリオに取り組む前の学習条件を設定するとなると、これらのことは当然考慮すべきだ、と考えられているでしょうか?

昨今、これまでよりも出産のタイミングが遅くなってきています。初めての出産を迎える女性の平均年齢は26歳です1 これに対し、1970年では女性が初めて母親になるのは21歳でした。2 また、35歳を過ぎて初めての出産を迎える女性も増えていることから、不妊治療の増加につながっています。3

多くの人たち – 特に女性たちは – キャリアを積むことを選択し、素晴らしい機会を得ています。そして、そういった人たちの多くは、年齢が高くなってから子どもを持とうとするため、より多くのIVF治療が必要となるのです。

Charles Coddington III, OB-GYN, Former President, Society for Assisted Reproductive Technology*

35歳を過ぎて初めての妊娠を迎える女性は、流産や遺伝的異常が発生する可能性が高まるなど、合併症が起こりやすくなります。4 高齢の場合は自動的にハイリスク妊娠となることから、医療従事者が母親と乳児にとって最悪の事態に備えておく必要があることに異論を唱える人はいないでしょう。 シミュレーションを始める前に患者の年齢を学習者に伝えるだけでも、学生はその年齢に関連して起こり得る患者のリスクを考えるきっかけとなるはずです。

これに加えて、患者の年齢を知ることによって、学習者は患者の年齢や背景に応じた共感の気持ちを示すよう促されるかもしれません。女性は安全に感じたり、安心して医療従事者に心配事を伝えたりしたいものです。さらに、女性は、正直な対話やお互いを尊重することによって患者と医療従事者の関係性を築くことを望んでおり、その尊重の気持ちは患者の背景や状況をある程度理解したうえで成り立ちます。妊娠中の患者の治療に求められる繊細さとコミュニケーションスキルを育てるには、シミュレーションが極めて有用となります。専門家は、コミュニケーションや共感スキルを教えるほか、ホリスティックアプローチで患者中心のケアを推進するためのシミュレーショントレーニングを推奨しています。5

シミュレーショントレーニングでは、学習者の知識や処置への自信が高まります。また、女性の健康分野に対する学習者の関心が高まる可能性があります。6

 

対人スキルを育てることに加え、シミュレーションは医療行為におけるコンピテンシーとコンプライアンスへの準拠を育てます。これは、命を脅かす状態であることが症状から示される場合に特に重要となります。妊産婦シミュレーションの発展や超音波のトレーニングソリューションが加わることによって、学習者は妊娠中の患者に対する治療の練習を積み、評価・診断スキルを伸ばすことができます。シミュレーションによって、学習者は質の高いケアへの理解を深め、将来実際の患者を治療する際に冷静さを保つ力を伸ばすことができます。

[産科]緊急事態の際に女性を最前線で守ってケアを提供する看護師は、これらの状況に対するトレーニングや練習から大きな恩恵を受けることができます。

Lynn Erdman, MN, RN, FAAN, Former CEO, Association of Women’s Health, Obstetric, & Neonatal Nurses (AWHONN)**

すこやかな妊娠は受胎前から始まり、質の高い産前ケアや合併症の早期認識が継続して行われます。 すこやかな妊娠は受胎前から始まり、質の高い産前ケアや合併症の早期認識が継続して行われます。学習者に現在の女性に関する健康の統計を確実に把握させることで、学習者はより豊かで実りあるシミュレーション経験を積むことができます。女性の健康に関する統計情報に注意を向けることにより、学習者の合併症や緊急事態に向けた準備が完成されます。シミュレーション中のテストに統計情報を含めることで、学習者のシミュレーション経験が最大限活用され、批判的思考スキルと患者への共感スキルの両方が育ちます。シミュレーショントレーニングによって、学習者は発生するあらゆる問題に対応する準備ができ、患者を安心させることができるようになります。 

本シリーズの次の記事 をお読みいただき、分娩シミュレーションで学習者の準備を整える際にどのように上記の要因やその他の患者背景を検討すればよいか、ご確認ください。

継続的ケアに関するインフォグラフィック

ライフスタイルに関する女性の決断は、女性自身の健康、すこやかな妊娠の可能性、そして赤ちゃんの健康に影響を及ぼします。シミュレーションがどのように役立つのか、このインフォグラフィック(日本語)をダウンロードしてご確認ください。 

インフォグラフィックをダウンロード

References

  1. U.S. Department of Health & Human Services. (2016). Births: Final data for 2016. Retrieved from https://www.cdc.gov/nchs/data/nvsr/nvsr67/nvsr67_01.pdf
  2. Leonard, K. (2016). Moms are older than they used to be. U.S. News & World Report. Retrieved from https://www.usnews.com/news/blogs/data-mine/2016/01/14/cdc-the-median-age-of-first-time-motherhood-is-increasing
  3. Doucleff, M. (2014). IVF baby boom: Births from fertility procedures hit new high. NPR. Retrieved from https://www.npr.org/sections/health-shots/2014/02/18/279035110/ivf-baby-boom-births-from-fertility-procedure-hit-new-high
  4. Centers for Disease Control & Prevention. (2018). Infertility FAQs. Retrieved from https://www.cdc.gov/reproductivehealth/infertility/index.htm
  5. Editorial. (2016). Communication and empathy in the patient-centered care model – Why simulation-based training is not optional. Clinical Simulation in Nursing, 12(8), 356-359. Retrieved from https://www.nursingsimulation.org/article/S1876-1399(16)30019-6/pdf
  6. Nitschmann, C., Bartz, D., & Johnson, N.R. (2014). Gynecologic simulation training increases medical student confidence and interest in women’s health. Teaching and Learning in Medicine, 26(2), 160-163. DOI: 10.1080/10401334.2014.883984

* Doucleff, M. (2014). See reference #3.

**Duggan, C. (2015). Nurses’ confidence and competence during obstetric emergencies improves with training. AWHONN. Retrieved from http://www.awhonn.org/news/261745/Nurses-Confidence-and-Competence-during-Obstetric-Emergencies-Improves-with-Training.htm