11月11日終了:ご参加いただき、どうもありがとうございました
院外心肺停止患者の社会復帰率向上へ、消防機関と連携した新しい心肺蘇生の質検証システム~Utsunomiya model~
藤田健亮 先生、井上聡 先生 済生会宇都宮病院 救急・集中治療科
院外心肺停止の患者の社会復帰を目指すとき、いち病院、いち消防がそれぞれ単独で努力や工夫を行うだけでは不十分です。Chain of survivalで知られるように、Bystanderから始まり、消防やドクターカーが行う病院前救護、病院内での集中治療、その後のケアまで含み、地域で取り組む必要があります。
済生会宇都宮病院 救急集中治療科では2022年からPrehospital ECPR (院外心肺停止患者に現場でECMOを装着する蘇生)システムを開始しています。これまでの常識を超える試みで、高い社会復帰率を目指しています。この高度な蘇生を支えるのは、ECMO導入前の通常の蘇生を高い質で行うための消防との定期的な訓練、月3〜4回で行われる現場での蘇生やECMO導入のシミュレーション、ICUでの質の高い管理であり、多機関、多職種、多部署、大勢のスタッフの努力あってこそです。
シミュレーションや訓練は、同じ試みを目指す国内の他施設からも見学に来ていただき、またメディアにも取り上げていただいています。今後も引き続き努力し、栃木県はもちろん、国内全ての地域で、心肺停止から社会復帰できるチャンスを高められるようなシステム構築に関与していきたいと思います。
<消防機関と連携した課題解決に向けての検証会実施>
★課題:実際の病院前における心肺蘇生では、胸骨圧迫が中断或いは質が低下する可能性がある時間帯が存在する。さらにそれは、<地域 (交通量や住宅状況など)>や、<救急隊 (隊員数、救急救命士数、mechanical CPRデバイスの有無など)>、<病院 (DrCar/DrHeliの有無など>など様々な要因に影響される。そのため、画一的なストラテジー(プロトコール)ではすべての患者に対して最良の心肺蘇生とはなり得ない。
★課題解決に向けの検証:レールダルメディカル社のレサシアンQCPRおよびQCPR SkillReporter アプリを用い、心肺停止患者に接触してから病院に収容するまでの一連の活動の中で、胸骨圧迫の質を連続的に評価した。これを用手的(manual) CPRと機械的(mechanical) CPRの両方で同検証を行い、それぞれの特徴を踏まえた最適な病院前心肺蘇生ストラテジーを検討する。