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CPRが必要なのは、成人だけではありません

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オリビア・キグリーさんに突然の心停止(SCA)が発生したとき、6歳でした。1年生の体育の授業で準備運動をしていて、突然倒れたのです

幸いにも彼女の学校では、迅速な救急救命トレーニングを実施していました。二人の教師が6分間の心肺蘇生(CPR)を実施した後、救急救命士(EMT)が到着し、除細動器でオリビアを蘇生させ、彼女は一命をとりとめました。この経験を振り返り、彼女の父親はこう言います「心停止は稀なできことではありません - 心停止後に生き延びることが稀なのです。」 1

米国では、毎年7,000人を超える子どもに院外での心停止(OHCA)が発生しています。そこに居合わせるバイスタンダーや医療従事者が、成人に対するときと変わらぬ自信と技術を持って行動できるかどうかが生存率を大きく左右します。3

 

生存できる子どもはわずか9%に留まり、
その多くの神経学的転帰は不良です。
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オリビアの話は、SCAの犠牲となる小児にとって、実現しうる最良の転帰を示しています。彼女が倒れるのが見た教師は直ちにバイスタンダーCPRを実施し、数分後に到着したEMSが後を引継ぎました。彼女の生存は、備えることが生死に大きな違いをもたらすことを証明しています。しかし、残念ながら小児に対するCPRトレーニングが実施される頻度は高くありません。人は、子どもにCPRを実施することを想像したくないのです。

本記事では、小児のSCAにみられる課題の概要を共有し、小児の蘇生に関するCPRトレーニングの頻度と質を高めることがどのように役立つのかを検討します。

小児の蘇生における障害

  • 誤った認識は、適切なケアの障害となる場合があります。 
    「突然の心停止」と聞いたとき、ほとんどの人は子どもを想像しないものです。大抵の場合、既に健康に問題のある高齢の男性患者が頭に浮かびます。平均的なSCAの犠牲者はそうかもしれませんが、これは、犠牲となる真の対象者を正しく反映するものではありません。年齢、性別、そして心臓の既往症の有無を問わず、SCAは誰にでも生じる可能性があります。5

  • 成人患者向けのトレーニングでは、小児患者に備えることはできません。
    解剖学的、生理学的、または日常の習慣的に、子どもと成人が異なることは明らかです。そのため当然のことながら、成人とは対照的に、冠動脈疾患が小児のSCAの原因となることはめったにありません。むしろ、小児の心停止では、一般的に2つの状態が原因となります。ひとつ目は、呼吸不全やショックにより生じる進行性の組織低酸素です。6  もうひとつは先天性の心疾患であり、心停止が発生するまで症状が現れることがありません。7

  • 突然の心停止は予見できないため、目撃者は不慣れな状況、驚き、そしてパニックによって動けなくなってしまいます。これよって、質の高い胸骨圧迫や換気を行おうとする意思や能力が妨げられてしまいます。 
    小児のOHCAの88%は公共の場所以外で発生します。8  目撃される多くは、若い運動選手に発生します。毎年、ハイスクールの70校に1校が小児の心停止を報告しています。9  これらのすべてにおいて、目撃の有無を問わず、その場の対応者は行動をとる準備が十分にできていません。

バイスタンダーによる質の高い処置が極めて重要です

目撃される心停止のうち、バイスタンダーCPRが実地されるのはわずか35%です。10 専門家は、バイスタンダーが行動を起こせるように自信を持たせることが、小児の生存率改善に向けたひとつの方策となると提言しています。

ある研究では、危機管理に関する1時間のトレーニングによって、小児の蘇生の初期段階における受講者の反応時間が改善されたことが示されています。11 また、別の研究では、CPRトレーニングを受講した親は、1ヵ月後に自己効力感が高まり、CPRを実施することに対して感じる不安感が減少したことが確認されています。12 この研究は、質の高いCPRトレーニングが市民に与える影響を浮き彫りにしています。恐れの要素を低減することは、生存率を高めることを意味します。

 市民に効果的なCPR トレーニングを実施し、救命能力に対して確実に自信を持ってトレーニングを終えてもらうためには、参加型の学習方法が役立ちます。学習者は、双方向の活動を通じて最高のコンペテンシーを達成できることが示されています。測定、評価、およびフィードバックを小児のCPR トレーニングに組み込むことによって、学習者は最適なパフォーマンスに向けてより良く備えることができ、あなたも、教室から未来のライフセーバーが誕生したことに安心できます。

子どものSCA生存率を改善するためには、子どもの近くにいる可能性が高い人たち -親、教師、コーチ、そして9歳の幼い子どもでさえも- を対象としてトレーニングを提供する必要があります。13 これらの学習者が必要とする小児向けの練習ができる参加型のコースは、トレーニングをしっかりと身につけるためのひとつの方法となります。 

EMSと医療従事者は?

シミュレーションを通じて提供される多くの利点の1つに、予期せぬ事態へのトレーニングがあります。これは、通常は成人患者の治療にあたる医療従事者が、SCAの小児患者に急に直面することになる状況に特に当てはまります。 ある研究では、救急救命士(EMS)の半数以上で、ひと月に対応する病気の子どもの数がわずか1人に留まることが明らかにされています。14  これは、小児への対応の経験が確実に不足していることを示唆しています。

 

EMS Pediatric ResuscitationEMS professionals training for pediatric QCPR. 

 

30年以上にわたり、病院到着前の生存率に変化はありません。15  これとは対照的に、院内の生存率は継続的に増加しています。16

なぜでしょうか? ピーター・アンテビー医師によると、EMTと救急医療隊員の多くは、成人患者ではその場に残って治療を行うのに対し、小児患者では自動的に搬送する傾向にあります。 17 このように、極めて重要となる最初の1分間が患者の搬送に使われてしまうと、生存率は下がります。 18  小児患者に対するトレーニングが非常に重要な理由はまさにここにあります。 その場で処置を行う自信とスキルを育てることで大きな違いが生まれるのです。

院内の小児生存率が改善しているとはいえ、生存できること自体がいまだに稀であることを認識することが重要です。アメリカ心臓協会(AHA)によると、小児の院内での心停止(IHCA)の生存退院率はわずか36%に留まります。19  医療従事者が直ちに処置をしたとしても、大半の子どもは回復に至りません。

研究では、小児の蘇生時に適切な胸骨圧迫比、胸骨圧迫深度、および胸骨圧迫速度を実施できる医療従事者はわずか10%であることが示されています。20  これらすべてが、追加のトレーニング、具体的には、質の高いCPRに重点を置いたトレーニングの必要性を示しています。

質の高い小児のCPRは、もはや推測で行うものではないのです。迅速なフィードバックと是正措置のガイダンスを提供してくれるトレーニング用のマネキンで、医療従事者は救命技術に自信を持つことができます。 

見過ごされる低頻度/緊急性の高い事象

小児の心停止は、動揺を生じさせ、その治療は困難です。子どもは成人よりも心停止が発生する可能性が低いとはいえ、CPRトレーニングにおいて小児を見過ごして良いということにはなりません。むしろ、これらの低頻度/緊急性の高い事象のためのトレーニングも同様に重要なものとして認識する必要があります。

既存のトレーニングカリキュラムに小児のマネキンを組み込むことによって、バイスタンダーや医療従事者も一様に小児の蘇生スキルを向上させることができます。レーダル メディカルが提供する幅広い小児のCPRスキルトレーニング用マネキンは、質の高いCPRフィードバックを内蔵し、学習者は最高水準のCPRスキルを習得するためのトレーニングを受けることができます。

References

  1. Donaldson James, S. (2013). 6-year-old survives cardiac arrest because school had plan. ABC News. Retrieved from https://abcnews.go.com/Health/sudden-cardiac-arrest-kills-healthy-year/story?id=18381107
  2. Fuchs, S.M. (2018). Advocating for life support training of children, parents, caregivers, school personnel, and the public. The American Academy of Pediatrics. Retrieved from http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2018/05/21/peds.2018-0705
  3. NYeHealth. (2016). Resuscitating the child: Disrupting the status quo to save our future at #DHC16. YouTube. Retrieved from www.youtube.com/watch?v=gjo_znxc2gw
  4. Fuchs, S.M. (2018). See reference #2.
  5. Sudden Cardiac Arrest Foundation. (2018). Sudden cardiac arrest: A healthcare crisis. Retrieved from http://www.sca-aware.org/about-sca
  6. Torrey, S.B. (2017). Pediatric basic life support for health care providers. UpToDate. Retrieved from https://www.uptodate.com/contents/pediatric-basic-life-support-for-health-care-providers
  7. Khan, B.V. (2018). Sudden cardiac arrest in kids: What and why? Sudden Cardiac Arrest Foundation. Retrieved from http://www.sca-aware.org/schools/sudden-cardiac-arrest-in-kids-what-and-why
  8. Fuchs, S.M. (2018). See reference #2.
  9. Ibid.
  10. Ibid.
  11. Blackwood, J., Duff, J.P., Nettel-Aguirre, A., Djogovic, D., & Joynt, C. (2014). Does teaching crisis resource management skills improve resuscitation performance in pediatric residents? Pediatric Critical Care Medicine. DOI: 10.1097/PCC.0000000000000100.
  12. Schlessel, J.S., Rappa, H.A., Lesser, M., Pogge, D., Ennis, R. & Mandel, L. (1995). CPR knowledge, self-efficacy, and anticipated anxiety as functions of infant/child CPR training. Annals of Emergency Medicine. Retrieved from https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7741338
  13. CPR Consultants. (2017). What age should children learn cpr? Retrieved from https://www.cprconsultants.com/what-age-should-children-learn-cpr/
  14. EMS1.com. (2016). 10 best pediatric patient assessment and treatment tips, resources and training. Retrieved from https://www.cprconsultants.com/what-age-should-children-learn-cpr/
  15. Standford Medicine X. (2017). Peter antevy, MD: Redesigning the emergency medical response. YouTube. Retrieved from https://www.youtube.com/watch?v=er4PFGG67TM
  16. Ibid
  17. Ibid
  18. Ibid
  19. American Heart Association. (2018). Part 11: Pediatric basic life support and cardiopulmonary resuscitation quality. American Heart Association. Retrieved from https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/part-11-pediatric-basic-life-support-and-cardiopulmonary-resuscitation-quality/
  20. Niles, D., Duval-Arnould, J., Skellett, S., Knight, L., Su, F., Raymond, T., et al. (2018). Characterization of pediatric in-hospital cardiopulmonary resuscitation quality metrics across an international resuscitation collaborative. Pediatric Critical Care Medicine. DOI: 10.1097/PCC.0000000000001520