ピア・ラーニングや自己学習を活用し、看護スキルを身につけましょう
指導者1人が受け持つ学習者数を少なくしましょう

指導者1人が受け持つ学習者数を少なくしましょう
世界各地で、看護教育者の労働負荷が大きい状態が続いています。その原因としてよく話題に上がるのは、学部の「指導者 対 学習者」の比率が大きいことです。ピア・ラーニングや自己学習は、このような状況の打開に活用できる指導法です。適切なデジタルツールでピア・ラーニング および 自己学習を活用すれば、指導者は自己効力感を再び確認し、自信を持てるようになります。また、習得を目指すコンピテンシーごとに、成果を達成しやすくなります。
米国看護大学協会(AACN)では、医療機関における「指導者 対 学習者」の比率を 1 対 8 から 1 対 10の範囲に収めるように推奨しています。しかしながら、同会の指摘によれば、現在 1 対 20 という極端な比率で指導しているところもあるとのこと。
英国王立看護協会(RCN)やオーストラリア看護助産委員会(NMBA)、カナダ看護学校協会(CASN)も、それぞれの国で同様の懸念があると強調しています。世界保健機関(WHO)でさえ、アフリカなどの地域では、「ひとクラスの規模が大きすぎるために、医療の改善が妨げられている」という問題を指摘し、懸念を表明しています。
「指導者 対 学習者」の比率が高いと、「学習者ひとりひとりに配慮する」および「教育の質を維持する」という 2 つの基本的な目標を達成することが難しくなります。学習者の成果も、低下してしまいます。教育者や指導者についても、同様のことが言えます。「指導者 対 学習者」の比率が高いと、指導者が受け持つ授業数や担当の委員会数が増えるだけではありません。このほかに、指導員の役割がプログラム認定の獲得やカリキュラム開発、規制遵守にまで拡大してしまうおそれも生じるのです。
すでに、いたるところで「ピア・ラーニングや自己学習を活用すれば、教育者に数々のメリットがもたらされる」という声が聞かれます。80年前の時点では(または、それ以前から)、看護教育者は学習者に果物のオレンジを配布し、それを使用して注射を指導していました。当時の学習者は、注射の方法・手順の説明を受け、指導者による実演を観察しました。その後、個人で または 他の学習者とともにオレンジで注射を練習する課題を与えられ、練習していたようです。 何万人もの看護師がこの方法でトレーニングを受けていたと言われています。実際、この方法はうまく機能していました。
看護教育のピア・ラーニングや自己学習を組み入れる戦略を採用すれば、素晴らしいメリットを享受できます。お客様からのお寄せいただいたメリットの中で最も多かったのは、コンピテンシー育成の基盤構築に関連性のあるものでした。
第一に、ピア・ラーニングや自己学習の環境では、学習者がディスカッションに参加し、さまざまな視点で議論し、お互いのパフォーマンスと手法を批判的に評価することが奨励されます。このプロセスにより、学習者は、看護プラクティスに欠かせない、クリティカルシンキングや臨床判断のスキルの基礎を養うことができます。
次に、ピア・ラーニングや自己学習で学習すると、「アクティブ(能動的な)」ラーニングが促されます。つまり、学習者は、教育体験の中心にいるのは自身だということに気付きます。これにより、学習者は手元にある教材を受動的に受け取るのではなく、その教材に能動的に働きかける所有者(オーナー)へと変化します。このアクティブ(能動的)な取り組みが、さらに深い学びと知識の定着を促します。
最後に、ピア・ラーニングや自己学習の環境に置かれた学習者は、自然と自己反省(振り返り)を行うようになります。看護の共通テーマは、状況認識を継続的に行い、その認識を維持することです。特に緊急時対応では、これが肝要とされています。ただし、状況認識の要素には自己認識も含まれます。そして、自己認識は、振り返り学習を行わなければ獲得することができません。つまり、看護の観点で継続的な改善と患者ケアの向上を推進するには、振り返り学習が不可欠です。
ピア・ラーニングや自己学習には、他にもメリットがあります。例として挙げられるのは、生涯学習スキルの獲得、コミュニケーション能力 および コラボレーション能力の育成、責任感と自律性の向上などです。このすべてが、将来のコンピテンシーの礎を築くうえで重要な要素となります。
看護教育者、看護教育の主任や学部長の方々であれば「指導者1人あたりの学習者」の比率が高いことから生じる不満や苛立ちを経験されたことがあるのではないでしょうか?ピア・ラーニングや自己学習を採り入れれば、この状況を好転させることができます。お客様からは、次のようなお声をいただいています。
「教育活動が、もっと楽しくなりますよ。決して大げさではありません。本当に楽しくてたまらないんです。学習者が一人で、あるいは、学習者どうしで練習している間に、教育者は、次に全員を集めて行う振り返り学習の準備に時間を充てられるのです。準備万端の状態で振り返り学習を始められるので、協力し合う空気に包まれた、インタラクティブな教室環境を楽しめるようになりますよ。議論の内容は深まりますし、対話もダイナミックになります。『講義だけで知識を伝える』という負担からも解放されるでしょう。…(下に続く)」
「(上からの続き)…指導者の業務負担も減ります。学習者がピア・ラーニングや自己学習を進めておけば、無駄に長い説明をする必要性がなくなります。説明は省き、学習者への指導や指南に集中できるのです。空いた時間を、学習者へのアドバイスやカリキュラムの開発、さらには研究に充てることができるでしょう。
何よりも、指導者自身の得意分野を伸ばすことができます。私どもは、ピア・ラーニングや自己学習を行う教育者が、教員と学習者の関係を強化し、ファシリテーションのスキルを磨いてきた姿を目の当たりにしてきました。『反転授業』や、問題解決型学習、バーチャル空間での学習など、さまざまな手法を試みてきた経緯も知っています。
結局のところ、ピア・ラーニングや自己学習によって、指導者は、学習者の成長 および スキルの向上を実感できるようになります。それに伴い、おおむね指導経験も豊かになり、プロとしてのやりがいも高まると言ってよいでしょう。」
どのような臨床活動においても、スキルトレーナは役立つ、必須のアイテムです。看護教育者が注射のスキルトレーナとして果物のオレンジを使っていた時代から、多くのことが変化を遂げた現在ですが、スキルトレーナは今でも必須アイテムであることに変わりありません。異なるのは、今の時代は各分野で各種スキルを育成できる高機能・高性能のスキルトレーナがあるということです。このような高機能・高性能のトレーナの用途は、看護から助産、救急医療までと、幅広い分野にわたっているのが特徴です。
ピア・ラーニングや自己学習では、スキルの反復練習とスキル習得を重要視するため、学習者の視点で学習や練習を重ねます。指導者は、適切なスキルトレーナがあれば、各学習者に対し、スキルを習得するまで、トレーナで手技やプロトコルを繰り返し練習するように促すことができます。
スキルトレーナをご使用いただくことで、協力し合える安全な学習環境を構築することもできます。つまり、学習者に「間違えたとしても、自身で振り返り、仲間のフィードバックから学ぶことができる安全な学習スペース」を提供できます。さらに、学習者はキャリア全体を通して、他者と協力し、フィードバックを受けながら学習やスキル練習を行う学習モデルを共有し、スキルの習得・維持を実現することができます。
適切なスキルトレーナを選択し、活用すれば、すべての学習者が一貫性のあるトレーニングを受けられるようになります。一貫性は、学習グループが一定レベルのスキルを習得するという目的達成には欠かせない要素です。
周産期スキルトレーナママバーシーは、世界的に注目度の高い製品の一つです。助産師 および プレホスピタルの専門職者、周産期の分野に入職する医療従事者が、経膣分娩と手術分娩の領域で自信を養うことができます。
レールダルでは、ピア・ラーニングや自己学習を推進できる、選りすぐりのスキルトレーナを幅広く提供しています。
ピア・ラーニングや自己学習のメリットをすべて活用されたい場合は、学習者にとっても教育者にとっても、スケーラビリティが、重要な鍵となります。レールダルのSimCaptureシステムでは、お客様のニーズに応じて日常業務のフローをオペレーション(操作)として定着させることができます。
SimCapture は、シミュレーションベースの学習とトレーニングの統合 および 自動化、管理、モニタリングを行うことができる、デジタルベースのソリューションです。ピア・ラーニングや自己学習に最も適したプラットフォームであり、忠実度の高いシミュレーションにもご使用いただけます。
SimCapture は、指導者が通常、手動で進める業務やアナログ業務・考察の一部を代わりに遂行してくれます。しかも、大規模にこれらの業務をすべて実行できます。
最も基本的な例をご紹介しましょう。SimCapture では、学習者は練習時にチェック項目のリストと教育リソースを両方使用しながら練習します。その後、自身のスキル練習の結果を生成すれば、それが、次の行動につながる洞察(インサイト)に変換され、その洞察を学習に利用できるのです。SimCapture は、スマートフォンやタブレットなどの Web 対応デバイスで操作できるため、学習者がスキル練習を行う場合は、準備手順やチェックリスト、事前に録画したデモ動画を視聴できます。学習者はデジタル形式のチェックリストを使用し、スキルトレーニングの課題に取り組んだり、学習者どうしで練習したりするときに録画もできます。練習の録画が完了すると、即時に採点が行われ、個人へのフィードバック および 改善すべき点を学習者に通知します。
教育者にとってのメリットは、課題や手順、チェックリスト、さらには動画デモなど、アナログ作業で行うとしたら1人1人に提供しなければならないものを、仮想環境で、かつデジタル形式で、全員に一度に提供できることにあります。学習者が課題を完了すると、個人単位 および グループ単位の学習者成績・洞察(インサイト)のレポートが生成され、読みやすい形式で返却されます。学習者との学習の取り組みが、一層豊かになり、さらに有意義なものになります。レポート作成時にペンを執ったり、スプレッドシートを作成したりする業務は不要になります。そのような業務は、指導者に代わって SimCapture が遂行するため、浮いた時間を有効活用できるようになります。
このほかに、データを根拠とした評価やレポートが提供されるため、新たなレベルの客観性を得られます。SimCapture の機能を活用すれば、グループ間 および 指導者間で評価の一貫性が保たれます。SimCapture のパラメータを設定していただくと、あとは SimCapture が自動で対応します。
SimCapture をご使用いただけばトレーニングの効率性が改善され、指導効果が向上し、積極的な指導活動を行えます。
- Rosemary Samia 氏、MSN、RN、CNS、CHSE
マサチューセッツ大学ボストン校、臨床教育研究センター、ディレクター
「指導者 対 学習者」の比率を最適な状態に維持している教育機関でも、学習者の成長を最大化するには、指導者のスキル および 時間、労力の優先順位付けについては細心の注意を払い、何を優先すべきか見極めなければなりません。当社が、そのお手伝いをさせていただきます。
当社の経験から、学習にまつわるすべてのデジタル「ハブ」としてSimCapture を使用し、ピア・ラーニング および 自己学習を適切なスキルトレーナと組み合わせて活用すれば、学習者のパフォーマンスを向上させることができます。また、これにより、指導者は、やりがいのある楽しい指導経験を数多く積んでいくことができます。
「指導者 対 学習者」の比率が高いために効率が上がらない場合、あるいは学習者にスキルのコンピテンシーを習得させるうえで障壁がある場合は、SimCapture を導入し、ピア・ラーニングや自己学習の学習効果を高められる要素を採り入れましょう。レールダル担当者にお問い合わせいただくか、もしくは、以下のリソースをご活用ください。
より効率的な学習指導、授業運営ができるよう、製品・サービス面からきめ細やかなサポートを提供いたします。ぜひ、当社ご相談ください。