早期介入とそれを可能にする技術の普及は、国内および国際的なパートナーとの共同を通じて、より広く、確実に推進していくことができるとレールダルは考えます。
シアトルのResuscitation AcademyとGRA(Global Resuscitation Alliance)が提唱する『10 STEPS』と呼ばれる心停止からの救命率を高めるのための最も効果的な10の推奨ポイントに着目します。
その中でも、前述のような通信指令員によるCPRサポート、早期介入、コミュニティでのCPRトレーニング、医療従事者によるハイパフォーマンスCPR、スマートテクノロジーを活用したCPRやPADは、最も着手しやすい内容とされています。重要かつ、効果的な実施可能なポイントは心停止からの救命率のみならず、その他の緊急性が高く、早期対応が患者の予後を大きく左右する、外傷、脳卒中、敗血症といった事象への対応にも適応されます。
これら3つの領域ではそれぞれ、毎年世界で約500万人近い人が亡くなっています。そのうち2%が削減されれば、それぞれの領域で10万人の命が救われることになります。また予後に影響を及ぼすという意味でさらにその後の障害をも減らすことができると言えます。
その他、より多くの命を救える可能性を秘めているのは出生時の死亡率を下げることです。毎年400万人以上の母子がお産で亡くなっています。そしてその99%が低資源国で生じており、多くの場合安易に回避できる事由によります。赤ちゃんの10人中1人が、例えば背中を刺激するといった単純な行動で救命される場合があるのです。
レールダルは、WHOなどの団体と共にHelping Babies Breath and Mothers Surviveという活動を通して、看護師や助産師の出産サポート教育プログラムを推進し、2030年には毎年50万人の新生児と5万人の母親の救命活動支援を実現するという目標を掲げています。